企業の営業職から一転、介護の人になる
もともと人と関わることが好きであったこと、母や姉が介護職に就いていたことで介護が身近だったことなどから、企業の営業職から一転、介護の仕事に就くことを決めました。専門学校で一から学ぶ中、一人一人に合ったサービスの提供のためには、各サービスを現場で実際に見ないことには分からないこともたくさんあると思っていました。そのため、訪問介護のアルバイトをして、施設で実習をした上で、就職を決めました。
杉並区で育ったので、浴風会の存在は近くに感じていました。小学生の頃、敬老の日に花束を届けたこともあります。そこで働こうと思ったのは、一つの法人の中で通所と施設など様々にサービスを展開しているため、それぞれの現場で経験を積むことができる。その先に、目の前のご利用者が望む支援ができると思ったことが大きいです。
インカム導入から浸透を考える
生活の場である施設の空間をより良くするため、ヒューマンエラーによるミスや事故を防ぐために、インカムを使った職員間の連携強化に取り組みました。導入から3年目に突入し、想定していたよりも浸透していると感じています。新しい制度を導入する際には、どうしても現場の負担感につながるといった声があがると思っていました。そのため、負担感をいかに解消できるか、利便性をうまく伝えられるかに気を配りながらの導入でした。
しかし、ふたを開けてみると、職員皆が導入に協力的で、使う中での課題も職員側からどうやったら改善できるかを意見してもらうことも多かったです。そこには、面倒だからやめようではなく、皆でインカムを有用なものにしていこうという意識があったと思います。現在、当園では、全員がインカムを装着して働いていますが、日常業務における情報共有はもちろん、事故の未然防止のためのチェックとしても機能しています。
一番近いからこそ、医療ニーズを見逃さないケアを
介護をするうえで、小さな変化が医療的なリスクにどうつながるかを知っておくことはとても大切です。水分が足りないことで脳梗塞のリスクが高まる、呂律が回らないのは脳梗塞の前兆、そういった医療ニーズを見逃さないケアについての研修はとても役立っています。ご利用者の変化にいち早く気づくことができるのは、長い時間一番近くにいる介護職です。
高齢者に多い疾病の初期症状や基礎知識を頭に留めながら、普段の様子と照らして行う支援が、医療ニーズを見逃さないケアだと感じています。このように介護の知識を深めるほかに、医療の知識も深めていける研修体制を持っていることは、働く上でとても心強いです。
ご利用者にも働きを見守られていた経験を伝えています
介護職に就き8年目となった今、自らの成長を考えていくこともそうですが、新入職員に経験を伝えていくことも大切だと感じています。いつも伝えるのは、苦戦しながら仕事をしていた中でご利用者に「頑張っているね」「いつもありがとうね」と声をかけていただいたことです。ご利用者にも自分の働きを見守られながら仕事をしているという気づきは、その後の自分を助けてくれる経験になりました。
特別養護老人ホームでは、言葉で思いを伝えることが難しいご利用者もいらっしゃいます。そういう方の表情や顔色、声、仕草等のサインをくみ取る力は、経験の中で培われた部分もあります。働いてみないと分からないことも多く、戸惑いもあるかと思いますが、私が経験した思いを新人職員の方も感じていただければ、ここでの仕事にうまくなじんでいけると思います。