様々な地区で相談員をして出会った浴風会
困っている方のもとへ出向き、何度も直接に相談をしながら、人生へ働きかけることができる、地域に飛び出していくダイナミックさを持つソーシャルワーカーの仕事に面白さを感じ、相談員になりました。働く地区が変わりながらも相談員をしてきて、その中で浴風会を知りました。隣接する地区にいた時、担当していた方が浴風会のデイサービスを利用していたため一緒に訪れており、広い敷地にたくさんの緑がある環境に驚きました。
礼拝堂で休んでいるとき、ゆったりと時が流れ、時間によって見せる表情が変わる自然に、ご利用者が10年待ってでも入所したい施設だとおっしゃっていたことに納得しました。そうした中で、募集があったタイミングで働くことを決めました。
こちらからアプローチし寄り添い続けながら解決すること
地域包括支援センターは、高齢者や関わる方々からの相談窓口になります。本人から申請があって初めてサービスにつながるという現状では、どうしても自力で申請に行けない人、申請できる内容を知らないでいる人は網の目からこぼれ落ちてしまいます。それでいて支援のニーズが高いのは、うまく行政につながれない人であることが多いのです。
ですから私たちは、ご本人は困っているけれど求めるサービスが分からないでいる状態から核心に迫り、経験や知識を総動員してその人にとって最善の道を探っていきます。受付にいらっしゃるのを待つだけでなく、こちらからアプローチをする。今は伴走支援ともいわれ、相談者自身が解決策を見つけていけるように傍らで寄り添い続ける息の長い支援が求められています。簡単ではありませんが、結果に至るプロセスを大切に、支援に立ち合い続けることにやりがいを感じています。
協働する力の高まりを実感しています
協働する働き方は、ここで働いて特に強化できたと思います。浴風会では各施設に相談員が配置されていて、月に1度の相談員の会議で情報共有をしています。その会議だけではなく、日ごろから互いに連絡を取り合いながら仕事をする意識がすでに組織の中にあります。そのような連携の中に身を置いて仕事ができるのは、相談員という仕事の特性にとっても、私自身が働いていくことにとっても有用なものだと感じています。
また、連携ができることだけが協働につながっているのではなく、多職種の働きが見える環境であることも大きいです。階層別研修は入職時期で区切られるため看護師やケアワーカーなど現場の人と学び合いました。通常であれば距離が出てしまいがちな現場の働き方も知ることができて、協働への意識をより深められました。
多様であることは、社会をよくするヒント
私の軸ともいえる考えは、多様さが保証されている社会はしなやかで強いということです。ここでいう多様性は特に人の多様性のことで、支援する側も相談者もそれぞれの特性が尊重されていることが大切だと思っています。高齢者とはこういうものだ、福祉職はこれが正解だと像を固定してしまっては、それぞれの持つ強みや個性は発揮されません。様々な人々が一緒になって暮らす中で、地域を形作っているのですから、多様に関わり合いながら尊重しあえることはとても大切になってきます。
同じ役割を持つ職員が多くいる浴風会では、それぞれの考えや取り組みに刺激を受けますし、その上で共に働くことを大事にしています。ですから、ここで高齢者福祉を一つの切り口に、地域をよりよくしていけたらと思っています。